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「メンバーが休もうって
言ってくれたとき・・。
凄く申し訳ない気持ちで
いっぱいになってん。
でも・・こうするしか、
方法はもうなくて・・。
あんときの俺はもう・・
ぼろぼろやった。
・・自分でぼろぼろとか
言うの、おかしいけどな。」
・・そんな!
そんなこと・・ないですよ!
藍はノリの言葉を否定する。
・・あいつらしい。
「俺、
蝋人形みたいになってん。
MARIAで活動すんの、
しんどかったくせに、
やることがなくなると
それはそれで・・
生き地獄やった。
だけど・・
立ち上がったんやな。
もう一回。
前に言ったな・・。」
「・・ファンの声・・
そうあたしに、
言ってくれましたよね?」
ああ、
ノリは頷く。
「俺・・勝手に。
勝手にひとりしょいこんでん。
誰んために唄ってん?
聴いてくれる人が
おらんかったら・・
唄なんて書く必要ないねん。
唄う必要だってな・・。
仲間と・・
支えてくれる仲間と・・。」
ノリは想いがこみ上げて・・。
言葉にならない。
「支えてくれるのは・・
ファンやった・・。」
俺は・・俺は。
「また・・忘れたんやな。
最低や・・。
こんな俺でも・・。
MARIAで唄える?
誰かのために・・
唄、唄えるかな・・?」
まるで
何かに乞うように・・
ノリは・・藍に話しかける。
「・・はい。
みんな・・待ってます。
ノリさんのうた、
スタッフもメンバーも・・
もちろん、ファンも。
みんないます。
みんな・・
そばにいます・・。
あたしも・・
待ってるファンの
ひとりです。」
・・・。
涙が・・溢れて。
「・・お前・・
MARIAのファンとか嘘やろ(笑)」
そうちゃかすことしか
できなくて。
でも笑った。
ふたりでそう・・笑った。
それから
ぐだぐだくだらないこと、
話して。
電話を切った。
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