‐Those who start to run‐

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  「時間だし、さっさと行こうぜ」 「そうね」  俺殴られてるのに麗人はスルーとか、こんな感じで毎日楽しく過ごしています。もうちょっと待遇をよくしてほしいが。  儚い願望を胸に抱いた俺は、うなだれながら前を歩き出す麗人たちのあとを追う。 「ちょっと待ったぁー!」  俺たち四人が受験会場に行こうとすると、後ろから超めんどくせー声。  声の主がわかっている俺たちは、とりあえず立ち止まって振り返る。目はダルそうにジトーッとしているが。 「俺様を置いていくなー! この俺様をー!」  まあ一応紹介しとくと、後方から全速力で走ってくるコイツは岡島大輝(おかじまたいき)。  一言でいうと、めんどくさいチビ。終わり♪ 「だってあんた遅れてるじゃないの。置いていって当たり前よ」 「そりゃねぇぜ、アネキ。俺は――」 「じゃ行きましょ」 「…………」 「まーまー、泣かないでー大ちゃん」  まあ、アイツの名誉の為にも弁解しておくと川並公園に俺たち四人は歩いて二分足らずで行けるのに対し、アイツは走って十分かかるという……。  別にアイツをイジメてるわけじゃない。この世の中、多数決なのである。  
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