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「酷いやい酷いやい酷いやい酷――」
「大輝、うっさい!」
「グワシッ!」
「あー! 今度は大ちゃんになにしてんのー! 麗ちゃんもなにか言ってやってよー!」
「…………」
俺にふるなよ、そう言いたげなその表情を見た俺はなにも言えなかった。
……まあいずれ楽しいときが来るさ、大輝。
◆ ◆
なんやかんやで俺たち五人はここ赤壁高校に来た。
「緊張しますねー」
「あら? ここに来てそんなこと心配してんの? それともちびっちゃった?」
「女の子がそんな言葉使っちゃ、めっ!」
「…………」
――ミスった。
目尻が濡れてきたのは汗だと俺は信じるさ。
「あははー。翔ちゃん可愛いー!」
凛ありがとう……。
チミには感謝しきれないぜ、ベイベ。
笑いのツボもメジャーリーグのストライクゾーン並に広い凛に、俺はウィンクで感謝の念を贈る。見事に気づかれなかった。……スベった。
「……なあ翔。俺ヤバくなると思うから、お前の見せてくださいましー」
俺がタイミングの悪すぎる自分を恨んでいると、大輝がマジでちびったのかと思うような声色でイラッとするように話しかけてきた。
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