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「舞姉ぇー、携帯の充電器貸してー」
「……だ~か~ら~、ノックしてから入って、っていつも言ってるでしょ」
今でも変わらない昔の綾ちゃんの肝の据わり具合が表れている武勇伝を思い出していると、勢いよく扉が開いて、涼が入ってきた。
風呂上がりで乾ききれていない髪の毛をいじくりながら入室した涼に、私はいつもと同じように注意する。
まったく、私が着替えているときだったらどうしてくれるのよ。翔以外には絶っ対に見せないんだからね。
弟と言えど、絶対に妥協しない私の意志は固い。こんなチャラチャラした弟だから、なおさら。
「なんだよ、その顔は? 別に舞姉ぇの下着姿とか見たってなんもねぇから、いちいち気にすんなよ。俺はもうたくさんのヤツの裸見てきてんだし」
「……中三のくせして、なに言ってるのよ。たくさん彼女がいたからって、いい男とは決して言えないんだからね」
「あー、彼氏が一度もできたこともない女に言われたくねぇなぁ」
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