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「……綾ちゃ~ん」
「はぁぁぁぁ……!」
「綾ちゃ~ん」
綾ちゃんが一向に教室から出ようとしない。今の時点で教室に残っているのは、私と綾ちゃんと担任の先生のみ。
クールビューティーという言葉が似合いそうな女性の先生は、少し不思議がってこちらを眺めていたんだけれど、私が苦笑いで会釈したら笑顔で退室してくれた。
というわけで、綾ちゃんと二人っきりになってしまいました。……どうしよ~。まだどこにもまわってないのに、もう三十分弱経っちゃったよ~。
「綾ちゃん戻って――」
「舞っち!」
「――きゃっ!? な、なに!?」
そろそろホントに時間がもったいなく思われてきたので、肩をさっきよりも強く揺らそうと手をかけた瞬間、綾ちゃんは大きな声で私の名前を叫んだ。
お化け屋敷みたいな怖いものは大丈夫だけど、びっくりするものはダメな私はもちろん驚いてしまったわけで。……女の子なのに怖いものが大丈夫って、少し損だよね。
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