‐Memories in the rain“Blind Night”‐

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  「どーもー。みんなのアイドル、浪花(なにわ)のマツジュンこと、キムタクでーす!」  キャーッ、という黄色い声援。もちろん、綾ちゃんもすごい音量です。  というよりどっちなのかな、あのセンパイ。確かにカッコいいけど……欲張りはダメだと思うんだよね。  歌や踊り、さらには演技でも、たくさんの人を虜(とりこ)にしているアイドルの名前を二つも取り入れているセンパイは、まわりからの黄色い声に笑顔で手を振って応えている。 「さあさあ、テレビではグランドスラムを達成するとアメリカへ旅行できるんだけどもー! たかが高校生の俺たちじゃ、そんな金はムリなのでー! 俺との一日デート券をあげようじゃないかー!」  キャーッ、という黄色い声がもう一度。  ちょっと一回外に出ようかな、私。耳が痛くなってきちゃったよ~。 「これはなにがなんでも達成するしかないようね……!」 「……綾ちゃん落ち着いて落ち着いて」  目が怖いよ~。  
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