‐Memories in the rain“Blind Night”‐

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          ◆ ◆ 「わっ、雨降ってる」 「あ、ホントだ。どうしよ、傘持ってきてないよ~」 「残念ながら私も持ってないわよ。もう、せっかく彼氏ができそうなのに、幸先(さいさき)悪いわねー」  新入生歓迎祭が終わり、綾ちゃんと飲み明かすことはないけれど、これからの綾ちゃんの幸せを願ってカラオケに何時間もこもっちゃった。  時間を忘れて歌っていたんだけれど、時間がすごいことになっちゃったことを店員さんに言われて、今カラオケのお店から出てきたところ。ほら、学校帰りだから制服のままだったし。  でも雨が降ってるとかいう、まさかの展開。天気予報ではそんなことなかったのに~。濡れちゃうのヤだなぁ。 「仕方ないわ、走るわよ。ここでウロウロしているわけにもいかないし。それに若干濡れてた方が、エロく見えるのよ」  星空を私たちに見せてくれないどんよりとした雨雲をしばらくの間睨みつけていた綾ちゃんは、ため息を吐くと私にそんなことを言ってきた。  
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