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ジリリリリリッガシャン、というなんの変哲もない普通の目覚まし時計が平和であろう朝を告げる。
「ふあ~」
どうも、俺の名前は中澤翔(なかざわしょう)。
この物語の主人公だ!
テンションが高いのは……気にしない方針で行ってくれるとありがたい。
欠伸を一つ漏らし、目尻に溜まった涙を指で拭った俺は、とりあえず二度寝したい気分に浸るのだが、今日はそんなことしてる暇がない。
なぜなら、今日は俺の人生を決める大事な――
「翔ー。いつまで寝てんのー。今日は高校受験の日でしょー。早く起きてきなさーい」
大事なセリフのときに下から俺を呼ぶ母さんに被せられたって、そんなことでめげるほどザコくはない。
とにもかくにも、今日は俺の人生を決める大事な――
「早く起きて来ないと遅れるわよー。それとも母さんに内緒で朝から変なことしてんのー?」
「ちげーよ!」
「じゃあ、早くおりてきなさーい」
もういいや。人間諦めが肝心である。別にめげたわけではない。だから俺はザコくない。そこはわかってくれ。
小さなことにこだわるめんどくさい俺は急いで着替え、下へ転げ落ち――もとい、一歩一歩踏みしめるように下りていった。
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