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「……あのね、私――」
◇ ◇
「…………」
無理だった。
舞がなにを言っているのか、まったく理解できなかった。
おばさんが、おじさんが、涼が、殺された……?
アメリカに行ったんじゃなかったの……?
意味がわからない。理解できない。そんなこと、信じれるわけがない。
「――でね、次の日にはおばさんが私のもとに駆けつけてきてくれたの。何年ぶりだったけれど、おばさんは一週間の間、私の面倒を見てくれた……」
「…………」
繋がった。
当時はなにひとつ疑問に思わなかったのだが、よく考えれば不思議なことである。
母さんは女手ひとつで俺と姉ちゃんを育ててきてくれた。今は姉ちゃんが大企業に勤め始めたから、少し荷の負担が軽くなったとはいえ、特に理由もなくそんな真面目な母さんが仕事を一週間も休むことがあるはずない。
あのとき俺と姉ちゃんを置いて家を一週間も空け、母さんが帰ってきた次の日に舞が転校生としてやってきた。
点と点が結びついていく中で、俺の頭は回転し始める。
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