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「おっはー!」
「あら、おはよう」
ちょっとお茶目に声をかけたのに、母さんはまさかのローテンション。
かなりの羞恥心にかられている俺は、あたりをキョロキョロ見渡し話題を探して、この窮地から逃れることに。
「あれ、姉ちゃんは?」
「もう仕事に行ったわよ。アンタとは違って忙しいの」
「俺だって……」
なにも言えないのは、俺のボキャブラリーが少ないのであろう。
反論しようにも力量不足でそれができない俺を見た母さんは、ため息まじりに口を開く。
「『俺だって……』なによ? そんなことより早く食べないと時間ないわよ」
国語辞典をまるまる覚えてみようかな、なんて考えていた俺は母さんの言葉を聞き時計に目をやる。
「…………」と俺。
いつの間にか時間が過ぎていってしまったようだ。俺としたことが情けないぜ、まったく。
「早く食べなさい」
「うい」
入試なのにまったく緊張感のない朝を送っているのは、何故なのだろうか。
一つの疑問符が頭に浮かんだが、悲しいことにそんなことに執着して考える時間なんか俺には残されていないのである。
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