61人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
亮子が駿慶寺を知ったのは中学に入学してすぐのことだった。
友達からその話を聞かされ、ライトアップされた桜はさぞかし綺麗だろうと胸を弾ませた。
桜が見えるわけでもないのに、亮子は夜になると近くの高台にある公園に行って、駿慶寺の方角を眺めたりした。
黒で塗りつぶされた山間の一箇所だけが、ぼうっと白く光り浮かびあがってみえた。
それだけで亮子の想像はかきたてられるのだった。
ライトアップされた桜の美しさはどれほどだろう。
最初のコメントを投稿しよう!