ユメセカイ?

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辺りに隠れられる場所は雑木林くらいしか無い。見通しも良くもう少し先にある寺の階段まで見える。 林の中に隠れているのか?とも思い、万が一の襲撃に備えて林の方を警戒しながら進んでいくと道らしきものを見つけた。 「こんなところに、道なんてあったか?瑞希のやつ…ここを登って行ったのか?」 方向的に家の寺の裏までは続いていそうだ。携帯で時間を確認、時間はある…。とりあえず、登ってみることに。 -------------------------- 和馬の家までは意外に階段が多く下から上る人はなかなかいない。何故なら寺まで道路が通っているからで皆車で向かう。 だが、瑞希だけは毎日と言って良いほど下から階段を上がってくる。距離的にはそちらの方が短い、幼い頃から登っているため苦にはならなかったのだ。おかげで今では女子陸上部のエースである。 だが、和馬は違う。学校が道路側が近いため登る機会はほとんどなかった。 「ハァ…ハァ…瑞希…アイツこの階段…どんな早さでのぼっ…てんだ!?」 休まず登っているがまるで見えてこない。やっとの思いで階段を登りきると、和馬はデジャブにおそわれた。 『ハァ…ハァ…な…夢か?』 そこに広がるは夢と同じ風景。まるで鏡の様に反射する池の中心には夢と同じく凛とたたずむ巨木。もう冬も近いはずなのにその枝には、青々とした緑が生い茂る。 「俺…登ってる最中に気絶でもしたのか?」
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