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「ねぇやーくん。これ、タンポポじゃない?」 俺は、美咲の陽気な声に「ハッ!?」と目を覚ます。 「お、おう」 それはまだ小さい、タンポポの蕾だった。 「やーくん。また寝てたでしょ~~」 「ね、てなんか」 「――バッチリ聞こえたんだから、いつもの『ハッ!?』ってやつ」 「う……」 「もう! あたし聞いた事ないよ。歩きながらウトウトする人なんて」 「悪い……」 美咲が手を組み直した途端、それまで静かだった車椅子が大きく揺れた。
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