◆prologue◆

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    死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。  世間的には批判的に見られ、警察などから厳しく規制されているにもかかわらず、しぶとくなおも存在し続ける自殺サイト―――その画面にひたすらこの、死にたい、という4文字を入力し続ける女の子がいる。  名を渚沢晁(ナギサワスバル)という、彼女は幼少期から家族から過度の期待をされ続け、ある時それまで溜め込んだ不満を爆発させてしまい、それまでしていた習い事や勉強を止めたのをはじめ、資金面以外の両親や兄弟への接触が断絶してしまった。  冷蔵庫から取り出した野菜ジュースを飲みながら、サイトで他の人から返事を待つもなかなか来ない。 「そりゃそうか、」  本当には誰も死にたい人なんていない、自分もそうだ、でも同じ苦悩や苦痛を共有する人と意思の疎通をはかりたい一心で、書き込みは止められないのである。  この少女の手首にはカッターで何度も自分を傷つけた跡がある。死に自ら近づく事でおのれの、生きてる、という実感を得られるからだ。  掲示板というコミュニティーはどちらかといえば、よくない印象を持つ人も多いのだが、孤独感に堪えられなくなった時には依存するようにパソコンから離れられなくなってしまう。
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