1.同窓会

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全員と思ったが、自分の斜め前が空いているのに真理は気付いた。 偶然か、幹事の二人は真理の前と横にいので、前にいる佐藤美希子に聞いた。 「ね、そこ誰か来るの?」 「ん?由里香がくるよん」 お肉が焼けるのが待ち通しいのか、さっきからしきりにひっくり返したりしながら美希子が言った。 「バイトで遅刻だって」 隣にいる、もう一人の幹事の高橋輝が続けて言った。 (来ないんだ。) 真理は何となく“あいつ”が来るような気がしていた。 別にどうというわけではなく、ただ単純に、“あいつ”はこのクラスが好きだったから。 “あいつ”のことで真理が一番始めに思い出すのは、中三の夏。図書室。 「真理?」 ぼ~っとしてたのか、隣にいた宮川鈴に真理は見られていた。 「食べないとなくなっちゃうよ?」 鈴はおっとり笑った。 真理が見てみると、確かに美希子と高橋は会話も少なく食べていた。 「持ってくるから大丈夫」 真理は鈴に笑って言った。 「食べ放だもんね」 にっこりと言う鈴の言葉にうなずいた。 皆今は、食べるのに夢中のようだ。 真理も、考えごとは止めて、食べるのに夢中になろうと思った。
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