1.同窓会

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渡辺がドアを開ける前に、ドアが開いた。 「あ。」 ドアを開けた張本人は、渡辺を見て呟いた。 「薫?なした」 澤口薫は渡辺の中学の時のクラスメートだ。 高校ではクラスが違う。 「メール。」 薫の短い返事を聞きながら、渡辺は廊下に出てドアを閉めた。 「行くのか?」 薫はうなずいた。 そして目だけで渡辺に訴えた。 「行きたいな」 渡辺が笑って言うと、満足そうに薫は微笑んだ。 何も言わずに自分の教室に戻る薫を見ながら、渡辺は携帯を開いた。 『それっていつ?』 幹事からの返信は早かった。 『まだ未定なんだ。』 渡辺の返事も早かった。 『じゃ、出席にしといて。』 『了解!』 携帯を閉じて、教室に戻った。 「なんかお前楽しそうだなぁ」 祐介に言われた。 「まぁな」 ふっと渡辺は笑った。
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