51人が本棚に入れています
本棚に追加
渡辺がドアを開ける前に、ドアが開いた。
「あ。」
ドアを開けた張本人は、渡辺を見て呟いた。
「薫?なした」
澤口薫は渡辺の中学の時のクラスメートだ。
高校ではクラスが違う。
「メール。」
薫の短い返事を聞きながら、渡辺は廊下に出てドアを閉めた。
「行くのか?」
薫はうなずいた。
そして目だけで渡辺に訴えた。
「行きたいな」
渡辺が笑って言うと、満足そうに薫は微笑んだ。
何も言わずに自分の教室に戻る薫を見ながら、渡辺は携帯を開いた。
『それっていつ?』
幹事からの返信は早かった。
『まだ未定なんだ。』
渡辺の返事も早かった。
『じゃ、出席にしといて。』
『了解!』
携帯を閉じて、教室に戻った。
「なんかお前楽しそうだなぁ」
祐介に言われた。
「まぁな」
ふっと渡辺は笑った。
最初のコメントを投稿しよう!