1.同窓会

6/17
前へ
/213ページ
次へ
後日渡辺のもとに幹事からメールが届いた。 同窓会の日にちが決まったその時、渡辺の不参加は決定した。 ずっと前からの先約がその日はあった。 「…あ、薫?」 電話を片手に渡辺は街を歩いていた。 「俺、行かねぇわ」 軽く笑って言った。 薫は「ふうん。」とだけ言った。 いつも薫は興味なさそうな言い方をする。 「友達…紗耶香わかるか?あいつの誕生日でさ、パーティーするって約束してたんだ」 また薫は、「ふうん。」と言った。 渡辺はまた笑った。 淡白に「残念だな。」と告げる薫の声がして、電話は切れた。 渡辺は携帯を切ってポケットに突っ込んだ。 はみ出したストラップがじゃらっといった。 「…マジな。」 でもそれはそれでいいかもしれないと思った。 あいつに会わなくてすむから。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加