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後日渡辺のもとに幹事からメールが届いた。
同窓会の日にちが決まったその時、渡辺の不参加は決定した。
ずっと前からの先約がその日はあった。
「…あ、薫?」
電話を片手に渡辺は街を歩いていた。
「俺、行かねぇわ」
軽く笑って言った。
薫は「ふうん。」とだけ言った。
いつも薫は興味なさそうな言い方をする。
「友達…紗耶香わかるか?あいつの誕生日でさ、パーティーするって約束してたんだ」
また薫は、「ふうん。」と言った。
渡辺はまた笑った。
淡白に「残念だな。」と告げる薫の声がして、電話は切れた。
渡辺は携帯を切ってポケットに突っ込んだ。
はみ出したストラップがじゃらっといった。
「…マジな。」
でもそれはそれでいいかもしれないと思った。
あいつに会わなくてすむから。
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