第1章(逃げ出したい!)

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本日快晴、普通世界の大学生は四限目を終える時間帯、空は晴れ渡っていたと言うのに、その空を見ることもなく、いそいそと歩く慌ただしい大人と学生達、何に追われているのか? そんな中、いつもなら、晩御飯のおかずを考えながら空を見上げ、周りを見渡し楽しそうに帰る家路をおくる敬太は・・・。 今日の帰り道を有り得ない程、苦痛に感じながら帰っていた。 こんな時に限って逃げ出すように実家に帰った仁、多少恨めしくも感じるのは、今日もまた長男の壱覇が家にやってくるからだ。 前回の事件が終わり落ち着くと何かと理由をつけては、こちらの世界にやってくる。 それは、まだ、約束の一つ、こちらの世界の俺の親代わりをしてくれた二人に会わせていないせいもあるのだろうが、壱覇の結婚式が終わってからにしようと散々ねばってようやく納得させた。 そして今朝は、お気に入りのマグカップを割ってしまった。 軽くて持ちやすくて、汚れが目立たないとても使い勝手の良いやつだったのに…… 不吉な予感・・・。 「はぁ」 大きなため息がでた。
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