第九章

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山下さんに会いに行ってから数ヶ月がたち、季節は冬に変わっていた。 「また会いたい」と言った桂吾さんからも何の連絡もなかった。私もそんな事は忘れて日々の生活を送っていた。 冬の街はクリスマスも近づき、イルミネーションでキラキラ輝いていた。クリスマスまで後2週間だ。 子供がいれば、例えいなくても結婚してまだ二度目のクリスマスなのだから、プレゼントは何にしようと考えたり、料理はどうしようクリスマスケーキは作ろうか買おうか…等と色々考えるのも楽しくて嬉しいものだろう。 けれど、私は何一つ考えていなかった。クリスマスも仕事だろうし、夫も仕事で帰りは遅い。夫はクリスマスに関心を持っていなかった。だからクリスマスといっても特別なことはしないのだ。愛理には「まだ新婚なのに冷めた夫婦みたいじゃないの」なんて言われる始末だ。
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