第九章

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それでも、二人で過ごす初めてのクリスマスには私も張り切って料理を作り、ケーキを焼いてプレゼントも用意した。何も言わなくてもクリスマスくらい早く帰って来ると私は思っていた。 けれど、夫はいつまでたっても帰って来なかった。刻々と時間だけが過ぎていくのを一人待った。 結局夫が帰って来たのは日付が変わってからで、私が起きて待っていることに驚きながら言ったのだ。 「どうしたんだ?誕生日か何かだった?」 『今日はクリスマスよ。遅くなるなら電話くらいくれれば良かったのに』 そんな私に夫は 「クリスマスだって別に意味ないだろ?俺そういうの苦手だし、特に何かしようとか思わないんだよな」 それを聞いて私は思った。自分が興味がないことには妻の為に何かしよう等とは思わない人なんだと。自分が興味があることには付き合わせるのに。 これでは結婚記念日や誕生日も期待は出来ないだろうと私は悟った。イベントがそれほど大事とは思わないけれど、二人で過ごす時間をもっと楽しく思ってくれてもいいのに…と思ったが諦めるしかないようだ。
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