第九章

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優しくても生活に不自由はなくても、この自己中心的な所だけは唯一不満だった。 友人に話しても贅沢な悩みだと言われるだろう。姑との同居や夫の浮気に悩んでいる人がいる中で私は充分過ぎるくらい幸せに写るだろうから。 クリスマスが近づき、耀き溢れる街を眺めながら一人気分が落ち込みそうになる私がいた。 《まだ二年目なのになぁ…》 子供を作ることが出来ないと知った夫がSEXを拒みはじめたのも私には少なからず不満だった。まだ28才という若い身体。 子供が出来ないとわかっても、お互い愛し合って結婚したはずだ。 もちろんSEXだけが愛を確かめる行為ではないと思っているけれど。二人の気持ちは同じだと、そんなことは関係ないと思っていたけれど。
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