=起動=

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「轟二曹、あなたのほめてるは、額面通りに受け取れないから」 エリカは頬を少し膨らませ不機嫌な様子で答える。 「そんだけ憎まれ口を叩ける様だと心配ないな」 そう言うと豪一は、コクりと小さく頷き満足気な笑みをその顔に浮かべる。 「しかし、まぁ、そんな得体の知れないモノをよく、腕に付ける気になったもんだぜ」 「付けられてたの……、目が覚めたらね……」 エリカは下を向き、両手をすり合わせながら、もじもじとしている。 「付けられたって、付けるヤツは米軍しかねぇだろー少尉殿」 豪一は、渋り切った顔でエリカを見るとため息を吐き出す。 「別に貴方が付けられた訳じゃないのに、何よそのため息は?」 「いやぁな、半分は俺の責任だからな……」 豪一は頭を抱えてうつ向いてしまう。そんな彼をエリカは少し意外な目で見ている。 「そうね、半分どころか全てよ!、見舞いにも来てくれない薄情モノには、それくらいの責任を感じてもらわないとねぇ」 「いかなかったじゃない、行けなかった、だ!! 少尉殿、勘違いするな!」 豪一は、エリカの辛辣な嫌みに、猛然と反発し返す。確かに、彼の言う通り、行きたくても、行けなかったのだ、ある人物の指示で。
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