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また、助けられてしまった……。エリカの心中に広がる苦い思い。豪一を筋肉バカだと見下していたのにも関わらず命を度々救われ、尚且つ、不測事態に対処出来なかった自分自身の不甲斐なさに腹が立ってくるのだ。
無論、豪一が命を救った事を鼻に掛けるような人物で無いことは、入院する前の2ヶ月間、一緒に仕事をしてきて、十分過ぎる程分かっている。
「死んでたら、呪い殺してる所よ!!」
やはり、豪一を罵倒するエリカをナターシャは、声を荒げてたしなめる。
「だから!!、その言い方は、止めなさいって言ってるの!!」
そんな、ナターシャの態度にエリカは鼻を鳴らして、皮肉たっぷりに毒づいた。
「ナターシャ、やたら、轟二曹の肩を持つじゃない……」
「変な勘繰りは、よして頂戴。上官としての警告よ」
ナターシャは頬を少し赤らめながら、エリカに自重を促すのだが、既成事実を知っている彼女にとっては、詭弁にしか聞こえない。
「私が居ないウチに2人でナニしてんだか……」
エリカの言葉に黙り込む2人を見て、彼女は言い掛けた言葉を飲み込んだ。ここで怒りを2人にぶつけてもそれは、只の嫉妬に過ぎないと気付いたからだ。
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