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「ナターシャ、あんた旦那が居るのに、よくヤルわ……」
エリカの口から放たれる言葉に、豪一は目を見張り、驚きの表情でナターシャの方を向いた。
「た、大尉!!。あ、あんた、"人妻"かい!?」
ナターシャは、申し訳なさそうにコクリと頷く。下を向いたままなのは、反省しているからだろうか。
「もう少し、早く言ってくれりゃー,興奮度も3割増しだったのにな……」
豪一の言葉にエリカが反応した。明らかに、"そこは違うだろ"とあきれ気味の視線が彼に向けられる。
(こっちの男(ヒト)も、どこに反応してんだか……)
エリカは、フンと鼻息を荒くし、2人の方を向くと、ニヤニヤと不気味な笑いをその面持ちに浮かべる。
「これ以上、いじめるのは可哀想ね。次の予定が知りたいから、大尉、教えて下さいますか?」
その言葉を聞いて、ナターシャは、ホッと肩から力を抜くと頭を軽く掻きながら答える。
「そうね、エリカの方は明後日、"新形"が届くわ、一昨日、横浜港の米軍補給ヤードに本国から届いたの、轟二曹も、新形が仕上がったと連絡がありました。多分、同時に到着するはずよ」
渋谷の事件以降、悪化する社会状況に歩調を合わせるかの様に、急速な軍事化が進んだ。世の中は一斉に、"ギガント"憎しの風潮に傾き、その様相は、太平洋戦争(第二次世界大戦)時代の日本に酷似していた。
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