=起動=

7/36

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
それから、数日後の7月初旬、"その新形"は、やってきた。ナターシャの話しだと、米軍はコンテナパッケージングした機体をヘリで吊り下げ、直接、木更津に送り込む段取りらしく、朝っぱらから慌ただしく人員が動き回っているのが、見受けられる。 豪一の日本側はトレーラーでの移送、ヘリが使えないのは、単純に米軍との力関係で強引に仕向けられたからだ。もっとも、五菱重工横浜工場には、ヘリポートがなく機甲歩兵を移送する為の手段とは成りえなかった。 米軍の展開は素早い。午前6時既に第一便が到着完了。搬入作業が始まっていた。豪一は、差し向かいにあるガランとした自分達の格納庫入口で、その模様を眺めていた。既に第二便が上空に姿を現し、離陸する第一便と入れ替わりに着陸態勢に入りつつあった。 「いいねぇ、金持ち国家は、やり方が豪勢だねぇ」 豪一がぼやくのも、無理はない。現在のアメリカの軍事予算は日本円で約100兆円、下手な国の国家予算並みだ。しかも、この軍事予算は、地球上の他国家全ての軍事予算を合わせた合計額の約2倍という、バケモノじみた数字だった。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加