=起動=

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「得体の知れないバケモノを相手にバケモノじみた軍事予算をつぎ込む、バケモノ国家の行く末は、ヤバい事しか思い付かねぇな……」 そう一人ごちした、豪一のスマホが着信を告げる。彼は怪訝そうな顔つきで液晶画面に目をやる。 「誰だ!?、こんな朝っぱらから?」 豪一がスマホを耳に当てると聞き覚えのある、若い声が飛び込んでくる。 「お疲れ様です。先輩!、桃園二士ですが、今から木更津に向かいますので、受け入れ準備お願いします!!」 「おう、昨日から重工の方がお出でになって準備万端だぞ!!、ゆっくり、焦らず、急いでこい!」 「もうーっ!!、どっちなんですか!!」 「そういきり立つな、こっちに着いたら、文句を言う暇がねぇ程、働いてもらうから、覚悟しとけよ!!」 「了解致しました!!。轟二曹、では、よろしくお願いいたします!!」 そう言うと、桃園さくらは元気な声を響かせてスマホを切った。豪一はスマホを耳に当てたまま、苦笑いしている。彼の妹にも通じる若さ溢れる感情の洪水にいつも圧倒される。苦笑いはそんな自分への自嘲だ。
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