=起動=

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あっという間に2人の前に姿を現したのは、ナターシャだった。さすがに息が荒い。肩を激しく上下させている。 「ハァ、ハァ、エリカ!!、あんた何処で、油売ってるのよ!!」 ナターシャの鬼の様な形相に、豪一は心の中で、"やっぱりか"と叫んでいた。いくらアメリカ軍とは言え、小規模なアノ部隊に人員的に余裕がある訳ではない筈だ。 テストパイロットとはいえど、貴重な人員の一人だろう。そう察した、豪一はナターシャに頭を下げて謝る。 「申し訳ない、ドブスレンコ大尉、手間をお掛けして」 「あら、問題ないわよ、悪いのは、この娘なんだから!!」 そう、言い放つナターシャの鋭い視線にエリカは晒されるが、悪びれた様子も見せず、あさっての方向に目線を泳がせていた。 (おい、おい、ちったあ、反省の色を見せろよ……) 豪一は心の中でそう呟きながら、エリカの方へ視線を走らすのだが、当の彼女にはまったく伝わっていない様子である。
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