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「どうだ!?、なかなか、ヤル気満々の機体だろ?」 「満々どころか、過剰装備だろーっ、コイツは…… 」 ニヤニヤと笑う豊田整備長に困惑気味の表情を向ける豪一は、腕組みをして答える。彼のこの姿は、納得していない時にでる所作だ。 「気に入らないって感じだな豪一、コイツは産まれたばかりの赤ん坊だ、おめえさんの躾具合でどうにも変化させられるってことだ」 「人間の赤ん坊じゃない、コイツは兵器ですぜ、整備長」 「おっ!?、おめえ、前に言ってたな、"機械だって愛情を持って接してやれば、応えてくれる"ってな!!」 「確かに言ったぜ。それくらい細かく観てやらないと機械は直ぐグズるからな……」 「分かってんじゃねぇか!!」 豊田整備長は、豪一の横腹に軽く肘打ちを入れると、その髭面を破顔一笑させた。 その時、整備倉庫奥の扉が開けられ、桃園さくら二等陸士が出てきた。2人の姿を認めると声を掛ける。 「豊田整備長、轟二曹、会議室にお越しください!!、打ち合わせが始まりますよ!!」 「おう、分かった、今すぐ行くからな!!」 豊田整備長は、顔だけ横に向け、そう桃園二等陸士に返すと、豪一の方に向き返り、ポンと肩を叩くと、左手の親指をビシっと立ててニカっと笑い答えた。 「豪一、任しとけ!!、コイツの整備はバッチリやってやる、アメリカさんの機体なんぞ、圧倒する位にな!!」 豊田整備長の心強い言い草に頼もしさを感じると共に、あの、エリカの機体に潜む得体の知れない不気味さに戦慄を覚えていたのも確かだった。
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