=起動=

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操縦士は"オルタネーター"と呼ばれ、機体のエンジンを兼ねている。感応力の増大は操縦士の負担の増大を意味していた。彼女の体力と気力が頼りという、心許ない状態だ。 「最新鋭の兵器が、人力と根性が原動力だなんて、お笑いじゃないの!!」 エリカの叫びも、もっともだった。いわゆる人力による兵器、性能は操縦士により変化するトンデモない代物だ。それゆえに、米軍はコレに人工知能と生体金属の人工生命体を組み合わせたコアを埋め込み自立した人造人間を造りだそうとしていた。 「制御不能になったら、どうするの?」 エリカの疑問点に、ナターシャは、うなじの産毛が逆立つような不気味な笑みを浮かべ口を開いた。 「人類に対して、敵意を抱いた瞬間に身体中に毒が廻る様に安全装置が仕掛けてあるのよ」 エリカは、そのえげつなさに絶句する。敵意という感情をいかなる計器で測定し、その基準を設けるのか?、仕組みが皆目解らなかった。ナターシャは続ける。 「そこは、オリハルコンの出番よ!!。精神感応性能をもつ生体金属は人の感情に敏感に反応するわ、それを利用して、強力なダンパーセンサーを開発したのよ」 よくよく、罪作りなモノである。この生体金属は元々ギガントの体から抽出された細胞が大元だ。彼らの強靭な表皮は人類の火力に対して充分過ぎる強度を誇っていた。
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