=起動=

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「だから、人類は毒を以て毒を制す禁断の方法を取ったのよ!!」 エリカはナターシャの言葉に、危険過ぎる匂いを感じ取った。人類は自らの手にした禁断の果実をむさぼり食う快楽に溺れ様としていると感覚したのだ。 「毒を食らわば皿までっていうけど……」 そんな言い草のエリカに、ナターシャは、瞳をひそめて、事の顛末を語る。 「この機体は、ギガントの裏技の塊なのよ、人類とギガントの遺伝子整合率は99、9パーセント、これは、チンパンジーと人間の差より近いわよ!!」 そして、エリカが危惧するのは、かつての原子力の様に人の手に余る状態に堕ちうる事への警戒感だった。 かつての大震災時、絶対に安全だと言われていた原発は、自然の猛威、津波の前に脆くも、その脆弱性を露呈していた。その教訓を生かすのであれば、この兵器は人類にとっては、原発以上に危険過ぎる代物だと、エリカは断言できた。だが、ナターシャの意見は違っていた。 「今は、危険がどうこうよりも、人類が生き延びれるかが大事なのよ!!」 つまり、危険どうかの判断よりも、人類社会の維持、発展の為に必要な事が最優先される事態に直面していたのだ。
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