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「ドブスレンコ大尉、機体が立ち上がりました。バックヤードにお越しください」
2人の背後から、米軍の兵士が機体が起動状態に入った事を告げる。ナターシャは、その言葉にゆっくりと兵士の方へ顔を向けにこやかに答えた。
「了解。直ぐに向かいます」
ナターシャは、顔をエリカの方へ戻し、真っ直ぐにその顔を見据えると静かに口元を動かした。
「貴女の運命も動きだしたわ、後戻りは出来ないわよ」
その視線をエリカはエメラルドグリーンの瞳でしっかりと受け止める。彼女の眼には、最早、迷いは見られなかった。
2人は、部屋を出てバックヤードに向かう、その背中には人類の命運を背負った重さを感じさせる陰りが射していた。
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