=起動=

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「科学者として軍人として、貴女の協力は感謝してる。でも、親友としては、賛成しかねるわね」 そんなに悩むなら、最初から仕掛けるなよと、エリカはナターシャに心中で叫んでいた。顔に表情を現さないつもりだったが、眉間にシワが寄っている事に彼女は気付いていない。 「まったく、隠し事が下手な娘(こ)なんだから……」 ナターシャは、エリカの顔を見やりながら、優しい笑みをその面持ちに現した。 「さあ、やるわよ!!、着替えたら早速、テストにはいるわ!!」 エリカはナターシャのその笑顔に力強い眼差しと、言い草で答えると、居住舞いを正し、その身を翻して奥に去っていく。 そんなエリカを後ろから見やり、ナターシャは大きなため息を付くと、小さく囁いた。 「本当に、罪深い娘ね……、いいわ、私も地獄の底まで、付き合ってあげる」 ナターシャのその言葉は、彼女なりの覚悟、一蓮托生、運命共同体としてエリカを支えるとの決意の表れであった。
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