=起動=

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豪一の搭乗する機体は、由緒正しき従来型兵器の技術を基礎にして積み重ねた上に存在するモノだ。 「こっちとら、純粋な兵器ってヤツだからな」 圧倒的なミリタリー感、戦車を思わせる、ゴツゴツとした固まりの装甲板とモス・グリーンとオリーブ・ドラブの迷彩塗装が重厚な感じを演出している。 「オールグリーン、チェック完了。整備長、さくら、フォローよろしく頼むぜ」 整備倉庫の前に立てられたテントの下にあつらえられた臨時の作戦指揮所には、安住一佐を始めとする自衛隊員や五菱重工の技術者が豊田整備長やさくらの後ろでモニターを眺めていた。やおら、安住一佐が豊田整備長にたずねる。 「今度の機体は前より、一回り大きくなってるな、豊田整備長」 「ええ、高さは15メートルあります。ギガントとタメですな、重さも40トンを超えます」 「10(ヒトマル)式戦車並みの重さだな、機動力の問題は、ホバリングでカバーするという事か……」 「関節付近の弱さは、コイツの泣き所ですからね。なるべく、負担を軽減してやらないと、いざというときに使い物になりませんからな」 豊田整備長は、そう答えるとタバコのヤニの付いた黄色く染まる歯を盛大にだしニカりと笑った。
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