=起動=

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この新型機のコクピットは、基本的にエリカの機体に搭載されている物と同じ構造規格の製品だ。 しかし、全天球スクリーンのコクピットは、豪一とエリカの機体では素材が違う。豪一の機体はチタン合金とカーボンファイバー複合材、エリカの機体は生体金属オリハルコン。 「さすがに新型は、視界が抜群にいいな、全天スクリーン様々だな」 旧型より一回り大きくなったコクピットは、操作性が抜群に良くなっている。ヘルメットのバイザーには、視点追尾式の照準器が組み込まれており、豪一の視線が捉えたターゲットに自動的にロックオンされる仕組みだ。 「少々、各部の動きが渋いのは、仕方ねぇな。さて、少尉殿、どう出てくる?」 「轟二曹、独り言、大きいですよ、心拍数、脳波共に安定してますね、リラックスし過ぎですよ 」 豪一は指揮所でモニタリングするさくら、こと、桃園二等陸士から手痛い指摘を受けるが、彼は鼻歌さえ、さえずんでいる始末だ。 「桃園二士、そんなに、がなり立てるなよ、余裕ってのは大切だぜ」 この時点では、そんな呑気な事を言っていた、豪一であったが、模擬戦が始まると、その思いは一転するのだった。
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