=起動=

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木更津駐屯地の一角に設けられた臨時演習場は、騒然とした雰囲気に包まれていた。 「るあーっ!!、何て馬鹿力だ!!、装甲が剥がされちまう」 「轟二曹!!、各部関節がオーバーロード状態です!!、冷却系のジャンプアップをして下さい!!」 「バカ野郎!!、今、能力を下げると力負けするぞ!!、このまま、押し切る!!」 豪一の機体が危険な状態にあることを、スクリーンの一角に映る、さくらの表情から読みとれた。事実、コクピット内はアラートが鳴り響き、真っ赤なリスク表示のオンパレードだ。 「まだまだ、イケるぜ、さくら!!、データをアップロードして、こっちにぶち込め!!」 危険な状況下にも関わらず、豪一は冷静に判断し行動する。あわてる時程、ゆっくりと確実に動く事でリスクを最低限に抑えるのだ。 「轟先輩!!、そんな悠長に、やってる場合ですか!!」 「さくら!!、急がば廻れって言葉があるだろ!!、大丈夫だオレを信じろ!!」 「先輩がソコまで言うなら、行っちゃいますよ!!」 「おぅ!!、それでこそ、大和撫子の鏡ってヤツだ!!」 半分焼けくそ気味に、さくらはパソコンのエンターキーをカチリと指先で押し込んだ。そんな彼女に豪一は最大限の誉め言葉を言い放った。
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