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パワーで豪一の機体を圧倒する、エリカの機体。その中で彼女は無表情に機体を操る。この機体は操縦士の感情を奪う。それほどまでに精神的負担が大きいのだ。
「ビルシュタイン少尉、慌てなくて、いいわよ」
「慌てて、ないわよ」
エリカは口だけを動かし、表情を変える事なく答える。モニターに映るエリカの表情は、まるで能面の様だ。
「大尉、オルタネーターのサイコ・メトロノームが上昇気味です。心拍数も含めて全体的にアップロードしてます」
淡々とエリカの様子をデータ解析し、オペレーターはナターシャに伝える。アメリカ側のオペレーションルームはアメリカンサイズのトレーラーの荷台をそのまま使用した巨大なモノだ。規模もモニターの数も日本側とは桁違いだ。
「少尉、一気にカタを付けても、いいわよ」
「了解」
やはり、ナターシャの問いに無表情で応えたエリカは、手にした操作ロットを握り直し、思念を伝える。コクピットの内壁スクリーンの色彩が虹色に変化し思念が伝達された事を可視化して表す。
その結果は、もちろんナターシャ達のいるオペレーションルームにも反映される。モニターの数と機器の多さはアメリカ軍の力の入れかたの本気度の高さといえた。
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