=起動=

33/36

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
「もらった!!」 豪一は掛け声と共に、赤い影に向けハイパーチェーンソーを鋭く叩き込んだ。肉に食い込む感覚が機体の腕を通じて感じられる。砂塵が沈み姿を現したエリカの機体にチェーンソーは見事に止められていた。 「なぁ!?、二の腕に挟み込むだと!!」 つまり、エリカは機体の右腕関節にチェーンソーを挟み込み、人工筋肉の圧力で動きを止めたのだ。ギリギリとチェーンソーの側面を締め上げていき、やがて刃の回転が止まった。 「な、なぁ、止めやがった!!」 豪一は深呼吸する。全く動きの取れない、この状態は確かにヤバい、しかし逆に言えば相手も動けない。チェーンソーさえ再稼働させれば腕を切断できる機会はこちら側にある。 「さあ、どう動く、少尉殿……」 豪一が、そう呟いた瞬間、エリカの機体は予想外の動きを見せたのだ。信じられないパワーで自らの機体をチェーンソーごと巻き込み回転させ、豪一の機体を頭から地面に叩きつけた。 「おわ!?、なんちゅう馬鹿力だ!!、手加減ってヤツを知らんのか少尉殿!?」 そう、なじったものの、双方向の通信が封鎖されている中、そんな豪一の思いがエリカに伝わるはずもなく彼女の攻撃は更に熾烈を極めていった。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加