18人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
「あっ、捕まっちまった……、ヤバいなコレは」
「落ち着き過ぎよ、轟二曹!!」
「だから落ち着け、大尉殿、対策はねぇのかと聞いてるんだ」
「あの娘を機体から切り離すのが一番手っ取り早いわね」
「つまり、少尉殿(アイツ)をコイツから引っ剥がせばいいんだな!!」
そう答えた豪一は、エリカの機体を組み付き素早く背中に回り込むと両腕を捻り上げてエリカの機体の動きを封じる。豪一は自らの機体をオートパイロットに切り替えるとハッチを開け、機外に飛び出した。
「轟二曹!!、何をする気!?」
「大尉、少尉殿を助けたいんだろ!!、だったら協力してくれよ」
エリカの機体に張り付いた豪一は、何かを探している。
「大尉!!、操縦席の緊急時開放ボルトは何処だ!!」
「メインハッチの右下よ、リスクマークがある所!!」
豪一は、ハッチ下のマークを見つけると、カバーを引き剥がし中にあるインジェクションレバーを思い切り引いた。次の瞬間、爆破ボルトが炸裂しメインハッチが吹き飛ぶ。
「よっしゃ!!、出てこいよ、お姫様!!」
そう言って、豪一は液化したリンゲル液に身体を突っ込みエリカの両腋を抱え引きずり出した。彼女の居なくなったコクピットはたちまち色合いを失い真っ暗になり沈黙する。
「まったくよ、世話の掛かる、お嬢さんだぜ……」
気を失って横たわるエリカを前に豪一は、ため息混じりでこぼす。もっとも、表情は柔らかく、むしろ笑みさえ浮かべていた。
アメリカ側と日本側のオペレーション設備から米兵士や自衛官が、わらわらと姿を現し2機の試作機に向かって集まってくる。
最初のコメントを投稿しよう!