業火の中で……

14/16

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
エリカは両手のひらを上にして組合せ、両腕を思い切り上に伸ばして背伸びする。シャツやタイトスカートごしにも、見て取れる抜群のプロポーションが強調されるのは豪一にとっては、目の保養だ。 「何、みてんの?」 そんな、豪一の視線を感じ取ったエリカは鋭く瞼を細めジロリと睨み返す。 「身体は、鈍いのに、そんな視線には敏感だな、少尉殿は……」 豪一は、額に右手のひらを当てて、こぼす様に答えると、盛大なため息を吐いた。 「オー、エリカ、こんな所に居たの!?」 その声に振り向いた二人の目前には、倉庫の戸口に立つ、白衣に身をつつんだ。肩まで軽くウェーブした金髪をなびかせた、青い瞳の美女の姿があった。 「あら?、ナターシャじゃないの!?、いつ、日本に?」 「つい、さっきよ!、貴女もう男を口説いてるの?」 豪一は、金髪の美女がエリカに気安く話しかけている所から二人が親しい関係であることをさとった。 「今日はラッキーな日だぜぇ、金髪美女のお出ましかい」 ニヤニヤする豪一に、エリカは眉間にシワをよせながら、ナターシャを紹介する。 「ナターシャ=ドブスレンコ博士よ、階級は大尉、私達のチームの主幹を務めて下さるわ」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加