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その後、さらに2回程、身体を重ねて、2人は朝を迎えた。豪一は早朝、満足気な笑みで静かな寝息をたてるナターシャをベッドに置いて、速やかに身支度を済ませ部屋を出た。後ろ向きに出て、振り返った豪一の目の前に立っていたのは、エリカだった。
「相変わらず、お盛んね」
恐ろしく、据わった目付きで充血仕切った目が鋭い視線を送っている。豪一が、思わず後ずさりする程の迫力を醸し出している。
「お、おぅ、元気そうだな、今日は早いな……」
「いつも、早いわよ……」
豪一の背中を冷たい汗が大量に流れ落ちる。能面の様なエリカの顔がパッと明るく成り、にこやかな笑顔になった。豪一はホッとすると同時に彼は戦慄を覚える。
「な、何か言わねぇのか?」
「文句を言っても、するんでしょナターシャと、私にアナタを咎める権利は無いわ」
サバサバとした態度でエリカは力なく答える。そんな彼女に豪一は、ナターシャに許可を得た件案を伝える。
「アナタの実家に行くの?」
「おぅ、気分転換に日本の田舎に行くってのもアリだな」
「行かないって言ったら、アンタが困るからね、いいわよ行ってあげる」
「そう言ってくれると、助かるぜ……」
豪一は、大きな息を吐き出し安堵の笑みを浮かべた。そんな彼にエリカは淋しげな瞳を向ける。
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