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「そんな、目をするなよ少尉殿、俺の不徳の致す所だから気にするな……」
「下半身は納得してるみたいだけどね……」
「そこは、突っ込むなよ、少尉殿……」
「女体にナニを突っ込んで、喜んでる人に言われたくないわね……」
「少尉殿、あんまり、いたぶらないでくれ」
すっかり意気消沈な豪一を、更に不敵な笑みを浮かべるエリカがキツイ一言を放った。
「自分に正直なのは、結構だけど、あんまり調子に乗ってると、痛い目に合うわよ……」
確かに、最近はエリカの言う通り全般的に調子は上々だ、模擬戦も僅差とはいえ勝ち越している。もっとも、その事で上の方はアメリカ側の塩対応に辟易している様子が司令の安住ー佐の憔悴ぶりから伺われた。
そして、エリカも当事者である事から連日責め立てられていることは、想像に頑ない。そんな彼女を気遣い豪一は盆休みの帰省を兼ねて自らの産まれ故郷である勝沼に招いて慰労してやろうと思いたったのだ。
しかし、その気遣いが新たな火種を誘発する事になろうとは……。豪一は頭を抱えつつも、エリカに日程と場所を伝える。
「山梨県、勝沼?、どの辺りなの……」
豪一は簡単な説明し、エリカの理解を促すと行く予定日を告げる。
「来週の10日から15日の間なの!?、良くナターシャが許したわね!?」
現在の状況を鑑みると、決して許される状態ではないのだが、ナターシャが豪一にミッションを授けた事により可能になったのだ。
「とにかく、少尉殿、今は休む事を考えろ!、いずれにしろ神経が参っちまうぞ」
豪一から優しく言葉を掛けられれば、掛けられる程、自分の非力さを炙り出される様でエリカの心中は自己嫌悪に陥っていく負のスパイラルが渦巻いていた。
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