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車は、木更津インターから一路、東京アクアラインを通り対岸の神奈川県に上陸する。その後、横浜をかすめて圏央道を八王子に向けて走り、やがて中央自動車道に行き着いた。
その間、エリカはひたすら寝続けていた。余りにも無防備に寝乱れる彼女に豪一は半ば呆れ返りながらも、安心仕切って自らの安全を自分に委ねてくれる信用はあるのだと感じていた。
中央自動車道に入った豪一達は西に向かう。しばらく走れば談合坂サービスエリアに到着する。そこで、彼はエリカを起こしにかかった。
「う゛…、もぅづいだの…」
もう、目も当てられない酷い素っぴん状態だ、頬にはシートの跡が痛々しい。
「少尉殿、とりあえず、よだれを拭け……」
豪一は、そう言ってハンカチをエリカに差出してやると、彼女はそれを引ったくるように奪い自らの口周りを素早く拭い取った。
「ありがとう……、私、どれくらい、寝てたの?」
「3時間近く、爆睡されてましたぜ、少尉殿」
「変なコトしてないでしょうね!!」
エリカは胸元を両手で隠して、最大限の疑いの目を豪一に向ける。その視線を受けて豪一が頭を掻きながらきっぱりと答える。
「オイ、オイ、俺は運転中だ、両手はふさがってるぜ!!」
「一応、信じておくわ」
「一応、かよ!!、」
「お腹がすいたし、降りて食事にしましょう、轟二曹」
そう言って、エリカは車を降りて複合施設の方へ足早に向かうのだった。豪一は小さく鼻を鳴らすと苦笑いを浮かべ彼女に続いた。
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