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「この辺りはな、幕末に元・新撰組の近藤勇が率いる甲陽鎮撫隊と明治政府の板垣退助率いる、征東軍が戦ってるんだ。甲州勝沼の戦いっていうヤツだ」
「昔の話しでしょ、私には関係ないわね……」
せっかく豪一が気を効かせて観光案内をしてやるが、エリカは全く反応を見せない。重苦しい雰囲気が2人の間を支配する。
「少尉殿、酒が欲しいなら甲州ワインを扱う施設があるから寄ってみるが、どうする?」
豪一は、助手席のエリカに問いかけた。彼女はにんまりと笑みを顔一面に浮かべそわそわし出した。
「そんな、重要な事は、もっと早く提示して欲しいわね!!、もちろん、代金は貴方持ちでしょ!!」
なんとも、ちゃっかりとした娘である。豪一は苦笑いしながら答える。
「了解致しました、喜んで支払わせて頂きます」
エリカが果たして、何本のワインを買うか分からなかったが、ココで、とことんサービス攻勢を掛けて恩を売って置くのもアリだと思った豪一は気前良く支払う覚悟を決めていた。
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