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そんなやり取りを端から見ていたエリカは訝しげに豪一に問いかける。
「誰から、電話なの?」
「俺の愚妹からだ、少尉殿と話したいんだと……」
少し遠慮がちに語尾が小さくなる豪一にエリカはにこやかに微笑み、彼からスマホを手渡されると耳にかざした。
「ハロー、轟二曹の妹さんね、いつも、貴方のお兄様には、お世話になっております」
豪一は、思わず腹をかかえて笑いそうになる。どちらがお世話になっているんだか!!。
「今から、そちらに伺いますから、宜しくお願いいたしますね」
エリカはいつの間にか、覚えた日本語をほぼ完璧にあつかい、夏美と同等に喋っている。もっとも、幼少期に母親から日本語教育を受けていたから、正確には思い出していると言った方が正解だ。
夏美と喋り終え、スマホを豪一に返したエリカは、優し気な微笑みを顔に浮かべ満足感に溢れている。
「元気な妹さんね、明るくて気持ちいい娘さんだわ、きっとしっかりとした、ご両親の元で育ったのね」
豪一は、心の中で、そのご両親に俺も育てられたんだが……、と突っ込みを入れていた。
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