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やがて宴も終わり、豪一はエリカを抱えて離れに戻った。その、お姫様抱っこをされたエリカを見て、夏美が羨まし気に口を尖らせる。
「いいなぁ、エリカさん、私もされたいなぁ……」
「夏美、ぶぅー垂れてねぇで、手伝え!!、結構、重いんだぞ、少尉殿(コイツ)は」
豪一は、その言葉と裏腹に軽々とエリカの身体を移動させる、流石に鍛え上げられた身体能力を見せつける。
「夏美、お前も、抱っこしてもらえる様な彼氏を見つけろ!」
「豪兄ーっ!!、それを言うなぁ!!」
文句を言いつつも、夏美はエリカの布団をしき、寝床をこしらえてくれた。そこに、豪一はエリカの身体を横たえた。夏美が気を利かせて足早に立ち去り、頬を薄い桃色に染め、静かな寝息をたてる彼女の寝顔に豪一は心を奪われた。
「本当になぁ、静かに寝てりゃあ、かわいいヤツなのになぁ……、永久に寝ててくれ少尉殿」
心中で囁くべき言葉を思わず口に出して、呟いてしまった豪一だった。その時、エリカの寝息が止まる。彼女は姿勢はそのままに、静かに口を開いた。
「私は、"厄介者の眠り姫"ってわけね……」
「まったく、聞いてやがったのか……、性格悪過ぎだろ、それに、そんなにひねくれるなよ、少尉殿」
エリカは背中合わせで話しをするのだが、本当は正面向かって話しをしたくて仕方ない様子が彼女の態度から伺いしれた。
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