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「良いも悪いも、最終日まで悶々とされてもね、面倒くさいし、だったらここで、決めちゃた方が、轟二曹、あなたも楽でしょう?」
なんとも、合理的な考え方で、厄介事を早めに片付けてしまいたい、エリカの心中が伺われる言い草だった。
「だからな……、少尉殿、そこに、愛情はねぇのか?」
「あっ……、愛情ですって!!、散々、ナターシャとセックスしまくってた人が、よく言えたものね!!」
どうやら、エリカは本気で怒っている様子だ。地獄絵図の屏風を背にして怒りを露にする姿は、まるで鬼夜叉だ。薄暗い部屋の中で全裸の女性に責められる様は正に地獄絵図だった。
(待てよ……、本気で怒ってやがるってことは、ひょっとして……、"アレ"かい!?)
「もう!!、わからない人ね!!、貴方は、私の"大切なモノ"を奪ったのよ!!」
「奪ったぁ!?、オレが少尉殿の何を盗んだってんだ!?」
「私の"心"よ……」
エリカの一言に豪一は、固まる。その言葉を女性の方から言わせてしまったのは、不覚だった。彼女の心を奪ったと言う事は、その全てを受け入れなければならない宿命を背負うからだ。
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