=勝沼= 世界の片隅で…

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豪一は姿勢を正し、布団の上にドッカリと胡座をかいた。エリカに差し向かいで座る様に促す。涼やかな風が流れ込み、蛙や虫の声が部屋中に響く。 「少尉殿、もう一度確認していいか?、本当にいいんだな!」 「もう、ひつこいわね!、私がOKって言ってるんだから、納得しなさいよ!」 男というヤツは、こうした状況下に置かれると意外に弱気になるモノだ、逆に女は胆が座っていて微動だにしない。 「よっしゃ、じゃあヤルか」 「もうーっ、情緒ってモノは無いの貴方は……」 エリカは、そう言って豪一の唇を塞いだ。薄明かりの地獄絵図の前で繰り広げられる愛欲の営みに、2人は溺れる。 2人はお互いの肉体を貪りあいながら、愛を確かめ合う。豪一はナターシャを抱いた時とは違う、愛しさをエリカに感じていた。木更津駐屯地で初めて出会った時から何故か妙に懐かしさを覚えていた、その理由(ワケ)が分かるのは、少し後の事だが。
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