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「いやはや、コイツは厄介な機体だよ……」
桜の花びらが風に乗って、開け放たれた倉庫の戸口から舞い落ちてくる。4月初旬の、この日。
場所は、あの木更津駐屯地の資材倉庫を改装した、豪一達の五菱重工開発チームの拠点だ。
「豊田のおやっさん、コイツは、確かに楽だがな……」
コクピットに座る、豪一は今までの機体と全く違う操縦席に戸惑っていた。
レバー類が極端に少ない上に、腕部分にはスレイブシステムという精神感応兵装の伝達装置が装着されていた。
ヘルメットには多数のケーブルがダイレクトに接続されている仕様は初め搭乗するタイプだった。
ヘルメットのインカムを通して、整備長の豊田が耳元でがなり立てる。
「豪一!!、そいつは、精神に感応する仕組みだからな根性いれねぇと、動かねぇぞ!!」
「根性じゃないぜ、コイツは軽油で動くんだぜ」
アクセルを煽り、ディーゼルエンジンに喝を入れて機甲歩兵を起動させる。向こうのビルでもシャッターが開き、妙に動物的なフォルムの機体が出てきた。
「なんだありゃ!?、やけにひょろっとした機体は……」
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