=勝沼= 世界の片隅で…

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夏美の言葉に、目覚めたばかりの豪一は、鈍く反応する。足元のタオルケットをエリカに掛けてやりながら夏美の方を向く。 「おぅ、早いな、どうした?」 「豪兄、朝御飯だよ!!、それから、その下半身の"ごぼ天"早く仕舞ってくれない……」 夏美は、顔面に右手を当てて、うつ向きながら、豪一に下半身のイチモツをしまう様に促した。 「ポコちんの一つや二つ、どーって事はねぇだろ、夏美!?」 「うら若い乙女に、そんなグロテスクなモノ、向けないでくれる……」 豪一は、エリカをチラっと見てから、夏美の方へ視線を戻し、ため息を付く。 その様子に夏美は首をかしげた。 「どうしたん、豪兄?」 「まぁ、お前も、その内、好きになってくるって」 「はぁ!?、何わけのわからない事、言ってんの!、とにかく、早く御飯を食べちゃってよ!!、今日は、お墓参りに出掛けるんでしょ!!」 その、夏美の一言に、ハッとした豪一は、あわててエリカを揺すり、起こしに掛かった。やがて、エリカが寝ぼけ眼で起き上がってきた。 「うーん、もう朝なの……」 生欠伸を噛み殺し、エリカはしばらく、まどろんでいたが、自分が全裸である事を認識すると、あわててタオルケットで全身を覆い顔だけ覗かせて、夏美に恥ずかし気に挨拶を済ませる。 「あっ、ごめんなさいエリカさん!!、着替えてもらったら、朝御飯ですからよろしく!!」 そう言い残して、夏美は離れから渡り廊下に出て、足早に母屋に帰っていった。
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