18人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから、1ヶ月が過ぎようとしていた。あの大震災による首都圏の被害は甚大で、豪一も復員してからは、災害復旧に追われる日々を過ごしていた。そして、エリカの行方は依然として分からなかった。
木更津駐屯地も津波による被害を受けていた。それによりエリカを失った、米軍は木更津からの実験部隊の撤収に入る事をナターシャより木更津駐屯地の米軍拠点にて、豪一は伝えられる。
「大尉殿も帰るのか?」
豪一の問いにナターシャは、少しうつむき深呼吸をすると明るく答えた。
「私は居残りよ、後始末とオルタネーターである貴方の監視が任務よ」
「まったく、ご苦労なこったぜ、親友が死んだかもしれないってのに……」
「豪一、あなたはエリカが死んだと本気で思ってるの?」
「あの状況で生きていたら奇跡ってもんだぜ……」
「でも、死んだとは思っていない、いや、思いたくないが正解ね!」
「大尉殿、傷口に塩をすり込む様な真似は止めてくれ」
「すり込みついでに、もうひとつ、いいかしら?」
「なんだ!?、まだあるのか?」
ナターシャは臍周りを擦りながら妖しく囁いた。
「出来たのよ……」
「だから、何がだ!?」
「もう本当に鈍いわね!!、子供よ、子供が出来たの!!」
最初のコメントを投稿しよう!