=化身=

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あれから、1ヶ月が過ぎようとしていた。あの大震災による首都圏の被害は甚大で、豪一も復員してからは、災害復旧に追われる日々を過ごしていた。そして、エリカの行方は依然として分からなかった。 木更津駐屯地も津波による被害を受けていた。それによりエリカを失った、米軍は木更津からの実験部隊の撤収に入る事をナターシャより木更津駐屯地の米軍拠点にて、豪一は伝えられる。 「大尉殿も帰るのか?」 豪一の問いにナターシャは、少しうつむき深呼吸をすると明るく答えた。 「私は居残りよ、後始末とオルタネーターである貴方の監視が任務よ」 「まったく、ご苦労なこったぜ、親友が死んだかもしれないってのに……」 「豪一、あなたはエリカが死んだと本気で思ってるの?」 「あの状況で生きていたら奇跡ってもんだぜ……」 「でも、死んだとは思っていない、いや、思いたくないが正解ね!」 「大尉殿、傷口に塩をすり込む様な真似は止めてくれ」 「すり込みついでに、もうひとつ、いいかしら?」 「なんだ!?、まだあるのか?」 ナターシャは臍周りを擦りながら妖しく囁いた。 「出来たのよ……」 「だから、何がだ!?」 「もう本当に鈍いわね!!、子供よ、子供が出来たの!!」
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